168 ミニピアノとフォルテピアノ。

 168 Dream フォルテピアノ 愛奏曲集
平井千絵(フォルテピアノ)
Chie Hirai(fortepiano)

(上記リンクから音源に飛びます。)
~この画面は広告です!~
 前回このブログで川口成彦さんの音源・コンサート感想と共にで日本が戦前~戦後にかけて製造していた「ミニピアノ」をご紹介しました。
 今回もそんな、「日本がかつて製造したミニピアノ」について。今度はグランドピアノの小型版です。
 3月5日(土)に浜松市博物館浜松市楽器博物館ではありません)が所蔵している1935年、大橋幡岩(はたいわ)設計の日本楽器製造(現在ヤマハ)のものです(大橋幡岩はこの後日本楽器製造を退職→戦後ディアパソン・ピアノを興した方です。)
 
 私はこちらの催しには行けなかったのですが、その時の動画が公開されていますので是非お楽しみ下さい。(30分位です。)
 フォルテピアニストである平井千絵さんがシューマンとテオダ・ド・セヴラックを3曲ずつ披露してくださっています。選曲がとても良くあっていてアンティークかつ繊細な音楽となっており、これまた透明度のある、今のピアノとも違う響きが聞こえてくるのではないかと思います。

 今回は、その平井千絵さんのアルバム「Dream」がAmazon Musicサブスクにあったのでそちらもご紹介したいと思います。
きらきら星変奏曲「ああ、お母さんあなたに申しましょう」による12の変奏曲ハ長調KV265(モーツァルト)
小さなジーグト長調KV574 (モーツァルト)
ソナタヘ短調K.481 L.187(スカルラッティ)
サー・ウィリアム・ピーターのパヴァーヌとガイヤルドより「ガイヤルド」(ウィリアム・バード)
「識者と愛好家のためのクラヴィーア曲集」第5巻より第5曲・幻想曲ヘ長調Wq-5(C.P.E.バッハ)
ピアノソナタ14番嬰ハ短調「幻想風」作品27-2(月光)(ベートーヴェン)
(ジョン・ケージ)
クラヴサン曲集第2巻第6組曲より「神秘的なバリケード」変ロ長調(クープラン)
休暇の日々から第1集・第4曲「ミミは公爵夫人の扮装をする」(セヴラック)
ソナタ11番イ長調KV331「トルコ行進曲付き」より第3楽章(モーツァルト)
 フォルテピアノは1790年頃アントン・ワルターのレプリカであり、この頃の楽曲としてなぞらえるのはモーツァルトやベートーヴェン初期作といったところとなると思います。
 しかしこのアルバムはその時代の枠を軽やかに超え、クープランのようなバロック音楽からジョン・ケージのような20世紀の作品まで(「夢」は1948年の作)まで網羅されています。
 特に「夢」からクープランへの移り変わりはなんだか幻に引き込まれるような不思議な感覚をおぼえます。これらはモダンピアノやチェンバロとも全く違う世界なのではないかと思います。
 勿論「当時の最先端楽器」でもある18世紀末のフォルテピアノの魅力を伝えるに欠かせない、楽器と同時代人であるモーツァルトの「きらきら星変奏曲」「トルコ行進曲」、ベートーヴェンの初期作品「月光」など、当時の鍵盤数(61鍵、現代のピアノは88鍵)で出来た最先端の楽曲の魅力をじっくり味わえる一枚でもあります。
 今のピアノとの違いがよく感じられますから、フォルテピアノで演奏された楽曲を聴いたことがない方にも是非オススメしたいと思います😊

 リンクはそのフォルテピアノから、世界最初のピアノであるクリストーフォリの楽曲集と、19世紀ショパンがマヨルカ島で愛好していたというプレイエル社のアップライトで弾かれたアレクセイ・リュビモフのショパンを中心とした作品集をどうぞ。
 後者にも「月光」が入っているので、ベートーヴェンが作曲した当時(1801年)の最先端の響きと、19世紀半ばになってからのベートーヴェンとの比較ができるかも知れません。

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