167 ミニピアノとポーランドのメロディ。

167 A few words about love… / Kilka slow o milosci...
アルドナ・バートニク(ソプラノ)川口成彦(フォルテピアノ)
Aldona Bartnik(soprano)Naruhiko Kawaguchi(fortepiano)

(上記リンクから音源に飛びます。)
~この画面は広告です!~

 2022年3月6日(日)、神奈川県県立相模湖交流センター・ラックスマンホールで行われた「川口成彦~小さなピアノの世界~」に行ってきました。(因みに中央線を終点高尾で乗り換えて更にひと駅、徒歩10分ほどの所です。相模湖のきらめきが美しかった!)
 ミニピアノってなんぞや?と行くまでよく分からなかったのですけども、会場についてこのミニピアノ達を眺めると…いや小っさ!!
 このミニピアノは日本だけで戦前~戦後期に作られていたものです。お子さんへのピアノの普及、あるいはピアノという楽器のご家庭への普及として作られていたみたい。
 オランダの楽器コレクターによってその存在を知った川口さん、一体フォルテピアニストである彼はどんな風に弾かれるのか興味津々でした。
 河合楽器製作所が作ったミニピアノ達。(左から昭和23年、平成7年、昭和5年)昭和生まれの2台は40鍵です。
 大正12年製のヤマハ(当時日本楽器製造)のミニピアノ、ピア子ット(ピアネットと読むらしい)。一見グランドピアノの様な見た目ですがこれまた随分小さい(49鍵)こちらは脚が長めで一応大人が座っても弾けそうです。
 膝レバーが付いているのが見えるでしょうか?
 昭和5年頃製造の河合楽器製作所のミニピアノ(40鍵)。椅子などからこの小ささが伝わるでしょうか。カワイの3台については川口さんはこれらをスポーツカーに乗るような姿勢で演奏されていました。
 しかも当然の事ながら、現代のピアノのように88鍵のフィールドで弾けるわけではないですから、40~49鍵で演奏可能な曲目も相当探して厳選されたとのことでしたけども、その結果知ってる作曲家も知らない作曲家も小品が多く集まり、なんともリラックスする美しい時間となりました。(pdfですがこちらから当日のプログラムがご覧いただけます。
 小さくて一体どんな音がするのかと思いましたけども、音量は意外とどのピアノもあり、音楽ホールの小~中規模の会場ならば全然大丈夫です。
 各楽器には私はこんなイメージを浮かべました。
  • 昭和23年のカワイ製→プレイエルの音に似てるような。ショパンをこれで弾かれていたのはとても良くわかる。
  • 平成7年のカワイ製(復刻)→ピアノにチェレスタが混ざったような響きがした。
  • 昭和5年のカワイ製→ピアノなんだけどもえらく透明度のある音。他で聴いたことがない気がする。
  • 大正12年のヤマハ製→低音が特にクラヴィコードっぽい。ハイドンがよく似合っていた。
 こんな感じでしょうか。でもこれは実際に聴いてみないとわからないと思います。
 是非東京などでもこういったコンサートが開かれたり、この日本製の古い楽器達の響きが見直されるといいなと強く思いました。
 コンサートが終わったら観客の皆さん、楽器の前に集まって写真タイムになったのがよく分かります。

 さてこのブログはAmazon Musicサブスクのおすすめもご紹介していますから、今回は川口成彦さんの最新の音源をピックアップ…なのですけども、一見しただけではどんなアルバムなのだかさっぱり分かりませんでした💦
 そこで今回、DeepL(翻訳サイト)を見ながら私が拙く曲目を書き起こしてみました。
 大変お美しく声の優しいアルドナ・バートニクさんと共に、ショパンやリストを除けば19世紀末~20世紀前半にかけて活躍されたポーランドの音楽家達の歌曲集ということになります。(フォルテピアノは1860年ヴェルク製)
 
心づもり 作品47-2 スタニスワフ・ニウェドムスキ
私の愛しい人 作品74-12 ショパン
クラコヴィアク 作品47-5 スタニスワフ・ニウェドムスキ
大きな時代の移ろい 作品 45-9 スタニスワフ・ニウェドムスキ
こだま 作品45-6 スタニスワフ・ニウェドムスキ
Zwiegesang 作品52-3 モーリツ・モシュコフスキ※
1ヶ月が経って 作品45-8 スタニスワフ・ニウェドムスキ
ポーランドのメロディ S.249 リスト※
鳥 作品47-4  スタニスワフ・ニウェドムスキ
願い 作品74-1 ショパン
子守歌 変ニ長調 作品57 ショパン※
2つの歌その1 ストルネッラ   ヤン・ガル
おお、私のボートに来て 作品13-3 ヤン・ガル
2つの歌その2 彼女の唇が残っている ヤン・ガル
大きな愛…。作品20-2 ヤン・ガル
ロマンス ロ長調 作品40-2 テオドル・レシェティツキ※
私がもっと若ければ…。作品20-2 ヤン・ガル
無言歌 イ短調 作品28-1 イグナツィ・クシジャノフスキ※
私の魂の哀れな歌 作品15-1 スタニスワフ・リプツキ
不貞 作品72-3 ポール・ミットマン
別れの言葉 作品72-4 ポール・ミットマン

※印はフォルテピアノソロ曲。3曲目の「クラコヴィアク」はポーランドの民族舞曲のひとつだそうです。
 残念ながら当然ポーランド語(一部ドイツ語?)の歌曲ばかりなので内容はわかりませんけども、アルバムタイトル「愛について一言」というタイトルの通り、表情豊かな愛の形を色々伺うことが出来、バートニクさんのソプラノが優しくてずっと聴いていられます。
 そして歌曲の合間に川口さんのソロ曲が何曲が入るのですけども、これがまたえらくロマンチックです!コンサートでも選曲がばっちりであったように、見事なセレクション。知らない作曲家でもすんなり世界に引き込まれますし、今度はこの作曲家の違う曲を聴いてみたくなること請け合いです。
 是非一度聴いてみて下さい😊!

 リンクは以前ご紹介した川口成彦さんのシューベルトと、20世紀の歌曲ということでブリテンの「イリュミナシオン」が入ったこちらの音源もどうぞ。
 そしてこの次の回も日本が生んだ「ミニピアノ」について。こちらは動画もありますので両方お楽しみになって下さい!

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