163 19世紀のピアノで聴こえてくるもの。

163 Mendelssohn: Piano Concertos
ロナウド・ブラウディガム(フォルテピアノ)ミヒャエル・アレクザンダー・ヴィレンズ(指揮)ケルン・アカデミー
Ronald Brautigam(fortepiano),Michael Alexander Willens(conductor),Die Kölner Akademie

(上記リンクから音源に飛びます。)
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 今回は2022年2月4日に行われた「小倉貴久子のフォルテピアノの世界・エラール・ピアノで弾くドビュッシー」の感想についてが中心で、サブスプリクション音源とは全く関係ない事をお許しください💦とはいえ前置きとして少し。

 前日、2月3日はメンデルスゾーンの誕生日だというのに私はすっかり忘れており、(自分のTwitterアイコンはいらすとやさんのメンデルスゾーンだったりします。)日付が変わるような時間になって慌てて探して聴いたのがこのロナウド・ブラウティガム(ブラウティハム)のメンデルスゾーンのピアノ協奏曲集でした。
 ブラウティガムはこの演奏に1830年製プレイエル製フォルテピアノを用いており、現在のピアノではまず濁りがちなメンデルスゾーンの…「楽譜の上では美しいはずの音形」を見事に描き出しています。この辺りは今回の小倉貴久子さんのエラール・ピアノとのドビュッシーでも、楽曲が全く異なるとはいえ同じような事を再認識しました。
 作曲者が編み出した音楽は、時代によって楽器や演奏法が異なるため、現在の楽器演奏では必ずしも意図が一致しないことがあるのだなと思います。
 メンデルスゾーンの協奏曲が苦手な方こそお試しいただきたいと思います。
華麗なロンド 変ホ長調 作品29(1834年)
ピアノ協奏曲第1番ト短調作品25(1831年)
華麗なカプリッチョ ロ短調作品22(1832年)
ピアノ協奏曲第2番ニ短調作品40(1837年)
セレナードとアレグロ・ジョコーソ ロ短調作品43(1838年)
 さてスペースを写真で空けて、昨日のコンサートの感想と行きたいと思います。
 本当ならばここでAmazon Musicの音源としてドビュッシーを紹介すれば良いのかとも思ったのですけども、先のブラウティガムのメンデルスゾーンでも書いたとおり、「現代のピアノで弾いたものと写真の1890年製エラール製フォルテピアノ(と小倉さんは仰っていたと思いますし、HPにもそう書いてありますが、パンフレットは1835年になっているのですよね…ウィーン製でもないと思うし、パンフが誤植かな?)での表現って、同じピアノという名前の楽器だけども随分違うよね。」と感じたので今回あえてドビュッシーを外しました。

 とはいえもう20世紀も間近に迫った時期のピアノですから(この時既にスタインウェイは交差弦の、現在のグランドピアノに近い形のものを出しています)そんなに違うのか?という話もあります。
 事実18世紀の頃の(ワルターなどの)フォルテピアノに比べれば「割とよく知っているピアノの音」がしています。
 だけども小倉さんが解説してくださる通り、低音域、高音域では若干音の響きが違う&平行弦であることによって…なんというか、音の離れ方(減衰というのかな)が異なるのです。

 そしてドビュッシーは恐らくこういったピアノのもとで作曲していたんだろうなぁという感覚が、よく知られている「月光」(ベルガマスク組曲の中の一曲)や「喜びの島」で誰もが実感できるように、リアルに伝わってくるのです。幻想的で、まるで聴く絵画のようでした。
 そんな、ピアノソロだけでも大変うっとりするというのに、とにかく盛り沢山の驚きと楽しさが込められている小倉貴久子さんのコンサート「フォルテピアノの世界」。今回はソロ曲だけでなく、野々下由香里さんとの歌曲、羽賀美歩さんとの連弾曲までドビュッシーづくし。
 野々下由香里さんの歌声はアール・ヌーヴォーな雰囲気を醸し出し、羽賀さんとの連弾はご家庭を思わせる温かみがあってどこか郷愁を誘います。聴衆は現代の東京にいるはずなのですが気分は19世紀末のフランス。色彩が溢れ出す2時間は、アンコールで更に面白いこととなりました。
 ドビュッシーが意識したという中世の時代を思い起こさせる要素として15世紀に考えられたという楽器クラヴィシンバルムが登場!
 出演者3名でこの楽器とエラールと歌とで交わるアンコール曲「6つの古代碑銘」(一部)が演奏されるという意外な展開に会場は更に沸きました。
(クラヴィシンバルムってどんな楽器?については下記動画をご覧下さい。)
 そしてアンコールになって豊洲文化センターの背後がガラス窓となり、レインボーブリッジのカラフルな照明が見える中での「花火」という心憎いサービスで、本当に盛り沢山なコンサートは大拍手で幕を閉じたのでした。
 質、量共にとてつもないボリュームでしたから、今回一緒にコンサートに行ってくれた友人も大満足してくれたのですけども、「素晴らしい演奏は聴く方も消耗する」ということで、終わったあとは会場近くのららぽーとで火鍋をもりもり食べて、帰宅したのでした…。 

 今回のコンサート感想はそんなところでしょうか。本当、とても楽しくて仕方がないひとときでした!!
 尚、「小倉貴久子のフォルテピアノの世界」は第6回、第7回まで決まっていて、
 どうぞこの「フォルテピアノの世界」の楽しさは、是非あなたも実演で満喫していただきたいと心から願っております😤

 そしてリンクは…とりあえずブラウティハムさんにも失礼のないように、モーツァルトとベートーヴェンを紹介しておきますね。

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