124 frei aber einsam
岡本誠司(バイオリン)反田恭平(ピアノ)
Seiji Okamoto(violin)Kyouhei Sorita(piano)
(上記リンクから音源に飛びます。)
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とはいえこんな不思議な邂逅は「めったに無いこと」ですから、今後も私なりに黙々とおすすめをご紹介していこうかと思います。
そう、私が何回もこのブログで紹介し登場しているバイオリンの岡本誠司さんがついにデビューアルバムをリリースされました!CDも買いましたけども、サブスプリクションで聴くこともできるのでより幅広い方に聴いていただきたい一枚になっています。
F.A.E.ソナタ(ディードリッヒ1、シューマン2,4、ブラームス3 1853年)3つのロマンス作品21(クララ・シューマン 1853年)バイオリンソナタ第1番ト長調「雨の歌」作品78(ブラームス 1879年)
なんと自分の大好きな(でも全曲聴く機会のめったに無い)F.A.E.ソナタが収録されているのです!
このソナタが作られた1853年はシューマン夫妻が若きブラームスと出会った年でもあります。シューマンが新進気鋭の作曲家に大変感銘し、その勢いでシューマンがブラームス、弟子ディードリッヒと共作し、バイオリニストヨーゼフ・ヨアヒムに捧げられたのが「F.A.E.ソナタ」になります。
岡本さんのアルバムタイトルはこの暗号のようなF.A.E.にちなんでおり、「自由だが孤独に」というヨアヒムの座右の銘が、シューマンらしい形で刻まれています。
岡本さんのアルバムタイトルはこの暗号のようなF.A.E.にちなんでおり、「自由だが孤独に」というヨアヒムの座右の銘が、シューマンらしい形で刻まれています。
クララ・シューマンの3つのロマンスも同年の作曲であり、この1曲めは夫シューマンの誕生日(6月8日!)に送られた曲になっています。ただ、シューマンの精神はこのころすでに病に冒されつつあり、翌年自殺未遂を起こし次第に作曲も難しくなり、3年後の1856年に亡くなります。このとき彼の棺を運んだのはこのディードリッヒ、ブラームス、そしてヨアヒムだったというのはなんとも悲しいお話です。
でもアルバムそのものはそういった悲観的要素は見られず、F.A.E.ソナタは華やかで詩的なシューマンらしいロマン派の旋律に20歳のブラームス・3楽章が飛び込んでくる心湧く音楽になっていると思います。(シューマンはこのF.A.E.ソナタから更に自分の楽章を抜き出し、改変してバイオリンソナタ3番を作っております。こちらはこちらで大変エモーショナル!是非聴いてみて下さい。)
この若きブラームスの旋律と歩みを垣間見たあとで、26年後にブラームスが作り出したバイオリンソナタ1番「雨の唄」を聴くと、しんみりしつつも彼の音楽的成長を感じるかも知れません。(クララ・シューマンはこの曲を天国に持っていきたいと話し、とても気に入っていたそうです。そんなところにもアルバムのコンセプトを感じますね。)
岡本さんのバイオリンはとにかく加速にもスローにも力みのない、丸みを帯びた音を奏で、聴いていて心地よい、温かい世界を生みだしているように思います。ピアノの反田恭平さんとの曲作りも丹念に感じられます。良かったらコンサートでもどうぞ!
私は
- 6月10日(木)紀尾井ホールでのリサイタル
- 7月11日(日)ヤマハホールの室内楽公演(ベートーヴェン初期もの!)
に出かける予定なので、とても楽しみにしております😊(他地域のコンサートはこちらからどうぞ!)
リンクは本日6月8日がシューマンの誕生日でもあり、また岡本さんの現在の師匠でもあるアンティエ・ヴァイトハース独奏のシューマンのバイオリン協奏曲を。また聴き比べ様に雨の唄、F.A.E.ソナタをご紹介します。
いつか岡本さんの独奏で、シューマンのコンチェルトを聴いてみたいものです!
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