129 感動しっぱなしだった6月25日。

 129 ハイドン:交響曲 第 96番「奇蹟」&第 18番&第 99番&第 30番「アレルヤ」
飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団
Norichika Iimori (conductor)Japan Century Symphony Orchestra

(上記リンクから音源に飛びます。)

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 このブログはあくまで「Amazon Music」サブスクでのクラシック音楽のおすすめを取り上げている内容であり、時折併せて演奏会の感想を記すという形を取っているのですけども、今回ハイドンを取り上げておきながらブログの本題とはほとんど関係ありません(オイ)
 今回は2021年6月25日に行ってきた2つのコンサート感想が主な内容となります。
 なのに何故ハイドン…😅強いて言えば後半の山形交響楽団さくらんぼコンサートと同じ指揮者であるくらいなものですね。

 でも25日のコンサート、私には珍しく2つをはしごする内容でしたけども、どちらも本当素晴らしくて、記憶に残る1日となりました。ただその印象を色褪せないうちに急いで記しておきたかったかったので、音源は書きかけストックからのご紹介となります。でも日本センチュリー交響楽団のハイドン・シリーズは本当素敵ですのでBGMとしてもご一緒にどうぞ。
 プログラムは以下のとおりです。
交響曲96番ニ長調「奇蹟」(1791年)
交響曲18番ト長調
交響曲99番変ホ長調(1794年)
交響曲30番ハ長調「アレルヤ」(1765年)
 さて6月25日は2つのコンサートに行ってきました。出かけた順番に書いていきますね。

1 小倉貴久子の”フォルテピアノの世界”第3回・タンゲンテンフリューゲルとジルバーマンによるバッハ「ゴールドベルク変奏曲」(初台・近江楽堂)

 この公演は昼夜2回あり、私は昼の部に出かけてきたのですけども、入場しパンフレットを広げた時点でもうとにかくたまげました。
 バッハのゴールドベルク変奏曲はアリア+30の変奏曲+最初のアリアという曲順で構成されており、私も聴き放題で付け焼き刃のように覚えてきたので一応知ってはいましたけれども、その曲調や構成が一つの図形に示され、まるで花のように構成されている。(小倉さん考案だそうです)聴衆はパンフレットをぐるりと回しながら聴くことに。(上記引用ツイート3枚めの画像にあるものです。)
 また小倉さんのコンサートはとても分かりやすい、音楽や楽器の歴史を伴った解説が必ず入るのですけども、今回コロナ禍+会場とお客さんとの距離が近いからか(近江楽堂はフルに入っても100名程度のところです)ポータブルスピーカーを持ってのご登場で、お話は全て前もって録音されたものを流しつつ身振り手振りで紹介するという、ユニークで画期的な試みをされておりました。

 そして私は小倉さんのコンサートには割とよく出かけている方ですけども、ジルバーマンのフォルテピアノは初体験でした。それもそのはずです。この楽器は楽器修復・製作家である久保田彰氏が2020年に復元されたものです(タンゲンテンフリューゲルも久保田さんの復元楽器)
 18世紀の半ばにイタリアのクリストフォーリによって発明されたピアノ(フォルテピアノ)は、その機構と仕組が雑誌に掲載され、それを見たドイツのオルガン製作者ジルバーマンがでは自分もやってみようと作り出しました。
 それを彼は大バッハに見せて、一度はダメ出しをくらったそうですが改良の末、プロイセンのフリードリッヒ大王に自ら製作したフォルテピアノを買われ、大バッハが御前演奏をするという成功を成し遂げた…という話は本で読んでいたのですけども、実際の音がどんなだったかは知りませんでした。
 この2台の楽器で32曲どうやって弾くのだろう…と思ったのですけども、このジルバーマンの音を聴いて即、「凄い最先端の楽器だ!(バッハの時代のね)」といたく納得する音色がしてたちまち感激しました。チェンバロとは明らかに異なる、でも現代のピアノとも違った美しさに満ちていました。
 この楽器が面白いのはチェンバロ風のペダル?も持っていて、切り替えるとピアノの音からちょっとどっしり系のチェンバロ風の音に早変わりすることです。一方タンゲンテンフリューゲルの音色は独自の美を持っていますが(仕組みがピアノに近いのでタッチで音量のコントロールもできる)非常に柔らかいチェンバロ的な音も出すので、とても対照的な感じ。
 このバラエティに飛んだ音色を伴ってがそれぞれ曲ごとに楽器を変えて演奏される…のですが、それだけじゃじゃないんですよ!!

 小倉さん、なんと曲中でもこの2つの楽器を行ったり来たりしているんです!!
 最初分からなくて、気がついたときあまりの早業に「これは忍者か!!」とびっくり仰天してしまいました。
 2つの楽器の保つ特性をフルに生かした演奏はまるでバッハが描く万華鏡の世界。クルリと回すパンフレット同様に、めくるめく幻想の色彩へといざなってくれるようでした。
 しかしゴールドベルク変奏曲が持つ音楽の多彩さと小倉さんの表現したかったバッハの横顔は実際に聴かないと…こんな文章ではまるでさっぱり伝わらないと一方で痛感しております。
 世の中のバッハ好きの方には勿論、私のように大バッハは今ひとつ苦手意識が強かった者にも小倉さんの是非聴いていただきたいと思い、もし再演されたら是非また聴きにいきたい…!!と心から願っています。(ただ楽器の持っている音量から、近江楽堂以上に大きな会場では難しいのかな…とも思いますが、せめて300ぐらいの音響の良いホールなら…というのも本当に沢山の方に聴いて欲しいのです。下の画像からでも分かる通り、この時代のフォルテピアノは現代のピアノよりもとても小さなものです。)
 やっと自分にもバッハの凄さ、音楽の喜びというものが心に刻まれたような気がします。大変興奮するコンサートでした!
※手前がジルバーマンのフォルテピアノ、奥がタンゲンテンフリューゲルです。姿は似てますが音色及び音を出す仕組みは異なります。しかしこれを何事もなかったように曲間でも行ったり来たりするとは…

2 山形交響楽団「さくらんぼコンサート2021」(初台・東京オペラシティ)

 さてこんなに浮かれまくった状態で次のコンサート。バッハに別世界に連れて行かれたような心の高揚感は格別なものですけども、一方でこのまま違う音楽を聴いて果たして私は大丈夫だろうかとものすごく心配になったりしながら、今度は近江楽堂の隣りにあるオペラシティコンサートホールへ。
 毎年美味しいさくらんぼが街に出回る時期に行われる山形交響楽団(以下山響)東京公演「さくらんぼコンサート」ですが、昨年はコロナ禍で行われませんでした。
 加えて年1~2回は山形へ出かけて定期公演を聴いている私も去年はそんな機会は全くなかったため(配信では何度も楽しませていただきましたけども)実際に山響サウンドを聴くのは19年の11月以来となりました。

 指揮は芸術総監督で山響を18年支えていらっしゃる飯森範親氏(今回の日本センチュリー交響楽団ハイドンの音源を指揮しているのもそうですね。)ソリストがソプラノで山形県長井市出身の梅津碧さんです。
 私は先にも書いたようにもともと山響のファンですし、それこそクラシック音楽を聴くようになったきっかけ…15年以上前飯森さんが振った山響の運命を聴いて家族ともどもクラシック音楽って凄いね!と感激してから、興味を持つようになった程ですから、飯森☓山響のコンビにはもう格段の信頼を置いておりますけども、それでも実演はとても久しぶりでしたし、梅津さんのことを全く知らなかったので一体どうなるかな…という一抹の不安のようなものもちょっとだけありました。
 でも梅津さん凄くパワフルでした!!まるでお人形さん(なんて書くと大変失礼なのですけども、華奢で華やかでアニメから飛び出したみたいなお姿なんです)みたいなルックスなのにいきなり夜の女王のアリアで驚かされました。歌声もコロラトゥーラ・ソプラノであることにもビックリなのですけども(高音のところが不思議と優しく聴こえる)パンフレットに書いてある彼女のキャリアにもとても驚きました。大学生になってから声楽家志向に転換されたのですね。梅津さん、かつての大西宇宙さんみたいに(山響の第九でやっぱり驚いた)日本でもブレイクされるんじゃないかしら…。

 そして山響十八番のモーツァルト(今回は25番)とシェエラザード。モーツァルトは割と安心して浸り満喫していた感じでしたけども、シェエラザードはとにかくあまりの格好良さに再び驚愕しっぱなしでした。
 ドラマチックな音楽の中にバイオリン、金管、ハープや木管楽器、打楽器ソロをはじめとする音が次々に、バシッと会心の一撃のように決まっていく快感があるというか、楽曲全般そんな感じでしたから、さっき小倉貴久子さんのバッハで興奮してきたばかりなのに、終わってみれば別の熱気で心臓がバクバクするような、ものすごい熱演でした。
 特に2楽章の終わりの残響は、オペラシティの天井の三角に吸い込まれたかと思ったほど。
 いや、熱演といっても単なる爆音イケイケではなく、非常に精密なコントロールの効いた情熱あふれる演奏というべきでしょうか。
 ちょっと前まではバッハの万華鏡だったのに、今度はあまりの臨場感にアラビアン・ナイトに連れて行かれるようでした😅
 数多く出かけてきたさくらんぼコンサートの中でもベストだったほど楽しさに満ち溢れていましたね。でもそれはモーツァルト交響曲全曲演奏会で提起したり、演奏会以外でも営業努力をしたり、オーケストラの様々な形によるのご努力によるものなんでしょうね…。
 先に山響グッズも買っていたのですが(写真のいぬまるぜのさんデザインのかわいいTシャツ)シェエラザードにあまりに興奮したので、さくらんぼも買い足してしまいました。

 こんな感じでしょうか。文章は拙いながらも、またこういった宝石のような素晴らしいコンサートに出会えたら良いなと心から願っております。
 とはいえいつまでも初心者な私ですから、予習復習にAmazon Music Unlimitedを利用しつつ😅今回のリンクは昨日のコンサートに備えて予習したものを取り上げておきます。

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