102  興行師ザロモンがアレンジしたハイドン。

 102 Haydn: Fortepiano Trios
アンサンブル・オブ・ザ・クラシック・エラ
Ensemble of the Classic Era

(上記リンクから音源に飛びます。)

 フォルテピアノを用いたハイドンのピアノトリオ集、ということで聴き出した1枚でした。
 最初のピアノトリオ14番、2楽章の、雨のような叙情に惹かれてこのブログで紹介しようと即決めたものの、聴いていて次第に、「聴いたことはあるけどもこんな曲あったっけ?」みたいな気分に…。
 こういうときはちゃんと曲目リストを見返さないと分からないですね😅
 実はハイドン自身が手掛けたピアノトリオ(編曲ものも含め全部で43曲あると言われている…)3曲の他に「ハイドンの交響曲をピアノ三重奏曲用に編曲したもの」が3曲入っているのですね。
 そりゃなんだか不思議な面持ちになったものです…。
ピアノ三重奏曲 第14番 変イ長調 (1790年)
ピアノ三重奏曲 第12番 ホ短調 (1789年)
交響曲 第92番 ト長調「オックスフォード」(デュセック編曲)
交響曲 第96番 ニ長調「奇跡」(ザロモン編曲)
交響曲 第94番 ト長調「驚愕」(ザロモン編曲)
ピアノピアノ三重奏曲 第18番 イ長調 (1794年)
 とはいえそのアレンジ・メンバーはとても豪華。
 交響曲第92番オックスフォード(1789年)はハイドンと同時代人で、「ピアノリサイタルが今の横向きスタイルになった」事で知られるデュセック。(ドゥシークとも。いつも彼の呼び名には困ります…)
 そして別名ザロモン・セットと言われる交響曲93~104番「ロンドン」までの、ハイドンを代表する多くの交響曲に関わり、彼をロンドン二度招聘し公演を大成功させた興行師ヨハン・ペーター・ザロモンによる編曲が2曲含まれています。

 興行師というとなんだか今で言うところのプロデューサー(現在の日本で言えばそうですね、秋元康とか…)のような感じなのかなぁと勝手に思ってしまいますけども、ザロモン自身も優れたバイオリニストだったそうで、私個人の好みでしかありませんけども、編曲に関しては彼のものの方が楽しく聴ける気がします😅
 特にハイドンのフレーズで有名なものの一つ「驚愕」(1791年)の第2楽章などは、自分もなんだか鍵盤で演奏してみたくなるほど親しみにあふれております。
 ザロモンはハイドンの公演や、楽譜の販売にあたって、今でならばCDや録音物の売り上げで名前と魅力を広めた…といったところを、こういった小ぢんまりとした編成での演奏で、当時の聴衆に「大スター、ハイドン先生」をPRしていたのでしょうね。
 ハイドンのロンドンでの盛り上がりは当時、私達が想定できそうなロック・スタークラス以上だったとも言われ、オックスフォードでは公演延期で暴動が起きたとも言われています。今私達がハイドンの楽曲を楽しむことが出来るのも、こういった縁の下の力持ちがいらっしゃるからかも知れませんね!

 元々のピアノトリオ3曲に3曲分の交響曲アレンジが聴けるため、このアンサンブル・オブ・ザ・クラシック・エラによる音源は約2時間(125分)ありますので、BGMとしても最適ですし、ハイドンの魅力を多角的にうつしている一作ではないかと思います! 
  あ、変な書き方して申し訳ありませんけどもデュセックも彼自身の楽曲は良いんですよ😅このブログでも以前ピアノ協奏曲を取り上げています。
 ハイドンについてもっと聴きたい方はこちらもどうぞ。(でも沢山あったから😅今回は交響曲以外のものだけをご紹介…。)

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