85 カルクブレンナーを軽く聴く。

85 Kalkbrenner: 25 Grandes Etudes de Style et de Perfectionnement, Op. 143
タイラー・ヘイ(ピアノ)
Tyler Hay(piano)

(リンクから音源に飛びます。)
~この画面は広告です!~

 …すみません、お題が駄洒落です^^;
 先日久しぶりに堪能したコンサート”ショパンの愛したピアノたち”。
 3台のフォルテピアノが一同に介し(F.B.シュトライヒャー、プレイエル、エラール)ショパンの世界を再現していく壮観さ、小倉貴久子さんの分かりやすい解説と、親しみやすい選曲&マニアックな音楽両方のチョイスの妙、そして最後のショパン・ピアノ協奏曲第1番(弦楽五重奏伴奏付き←これを聴いてしまうと、もうこのタイプしか聴けなくなるくらい本当にピアノと一体感のある素晴らしい音楽です!)という、もう本当に心洗われる素敵なひとときでした。
 公演ではショパン以外の作曲家…リストやシューマンなども取り上げらたのですが、その中にカルクブレンナーという作曲家の小品もありました。(ロマンスと華麗なロンドヘ長調・作品96)先に上げたショパンのピアノ協奏曲第1番は、実はこの方に献呈されているものなのです。
 でもカルクブレンナー、正直な所良くわからない…。コンサートのときに小倉さんはこの方は当時の花形ピアニスト・作曲家であっただけでなく、プレイエル社の広告塔としても活躍していたことを述べられていましたから、これは後でこの方がどんな音楽を紡がれていたのかきちんと確認しなくてはなぁ…と思っていました。だいぶ時間が経過してしまいましたけども^^;
 ただAmazonMusicのアプリではKalkbrennerという検索だけだとポピュラーな音楽ばかりがヒットしてしまい、中々出てきません。”Kalkbrennner piano”とでもするか、一度パソコンかAmazonのウェブ画面で”デジタルミュージック”→左側の”Amazon Music Unlimited”にチェック→ジャンルをクラシックに絞るとようやくカルクブレンナーについての音源が幾つかヒットします。
 その中で私はこちら、1994年イギリス生まれのピアニスト、タイラー・ヘイさんのこの音源をご紹介しようかと思います。
・様式と完成の25の大練習曲Op.143(1839年)
・ショパンのマズルカによる華麗な変奏曲Op.120
 前記したようにショパンは1830年にピアノ協奏曲第1番を手掛けてこのカルクブレンナーに献呈しています。「ショパンのマズルカによる華麗な変奏曲」はその返礼みたいなものだったのでしょうか…どこかピアノ協奏曲っぽい側面も見られ、テクニックがさぞ必要なんだろうなぁという感じが聴こえてきます。
 このショパンやリストの台頭によってカルクブレンナーの時代はやがて過ぎ去っていくわけですけども、それでもショパンが一時期は憧れたんだろうなぁ、という雰囲気…当時の、特にフランス流行最先端をこの音楽からも感じられる気がしました。「様式と完成の25の大練習曲」も、練習曲なので一曲一曲は短いですけども、華やかな彩りも物語性も感じられ、楽しく聴くことが出来ます。(この音源ではベヒシュタインのピアノを用いているようです。)
 しかし音楽としても音楽ビジネスパーソンとしても(プレイエルへの経営参画だけでなく、ピアノ練習器具の普及も図って成功している)上手く人生順風満帆だった方なのに、どうしてその後埋もれてしまったのでしょうね…。(ネットで資料を眺めている限りではあまりに自信満々で性格的に難がありそうな印象も受けましたけども^^;)
 そんな風に思いを寄せつつも、今はこういった聴き放題だからこそ気軽に色々触れられるチャンスがあることですし、音楽の軽妙さ+あのショパンも一度は憧れた人ということでカルクブレンナー、再ブレイクもありうるかもなぁ…という気分にさせる音源になっていると思います。

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