82 ベートーヴェンの4手ピアノ世界。

82 Beethoven: Complete Works for 4-Hand Piano
エイミー・ハーマン、サラ・ハーマン(ピアノ、フォルテピアノ)
Amy and Sara Hamann(piano&fortepiano)

(リンクから音源に飛びます。)
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 最近ずっとこちらのベートーヴェンの「4手のためのピアノ曲全集」を聴いていたのですがブログで取り上げられないままでいました。というのも(ありがたいことに)最近コンサートの配信が多かったからです。
 今晩も東京シティ・フィルハーモニックの定期演奏会(無観客・配信のみ。曲目はベートヴェン交響曲7番)が19時から予定されています。
 その前には
 山形交響楽団の素晴らしいこれまた無観客配信の第283回定期演奏会、(最上川舟唄、ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」。こちらのアーカイブで視聴可能です。
 クラウドファンディングで募集をしていた調布国際音楽祭の数々のコンサート(ここではこのブログにもよく登場する鈴木秀美さんの無伴奏・チェロリサイタルをご紹介しておきます。他のコンサートもアーカイブ視聴可能です) などを聴く機会に恵まれました。
 勿論無料で聴いて楽しむだけでなく、大好きな素晴らしいアーティストやオーケストラに何かしらの貢献をしたいな、というのは今後も考えていかなくてはならないと思います。段々とチケットを発売するタイプのコンサートも復活してきましたけれども、それは「コロナウイルス対策で空間を作るため座席数を半分以下にしていたり」いますし、まだまだこういったコンサートといったライブ感を求めるものにとっては試行錯誤と財政との戦いが続くように思われます。
 こういった聴き放題ものも、微々たるものではあると思いますけども多少はアーティスト側に恩恵がいくと思われます。もしもCDを持っていたりするものでも、あえて聴き放題で聴いてみるというのも一つの手ではないでしょうか?

 …話が本題とは違うところに行ってしまいましたけども、とはいえこのベートーヴェンの連弾曲集は本当にステキで、そんな配信の合間でもよく聴いておりました。
 ベートーヴェンはこれらを「自分が教えている貴族」のために書いたそうでベートーヴェンが低音部、生徒が高音部という風に弾いていたというイメージが良く伝わってきます。ベートーヴェンなんですがどこか可愛らしい響きすら感じられます。
 しかし最後の「大フーガ」はそういったものではなく、ベートーヴェン最晩年の作品、あの弦楽四重奏第13番4楽章の4手ピアノ版編曲版(勿論ベートーヴェンの編曲です)なのですから驚きます。
 しかもこのアルバムは、指向がとても凝っております。
1 四手のためのソナタニ長調 Op.6(1797)
2 ワルトシュタイン伯爵の主題による8つの変奏曲ハ長調 Woo 67(1792)
3 ゲーテの「君に想う」による6つの変奏曲ニ長調 Woo 74(1805)
4 4手ピアノのための大フーガ変ロ長調 Op.136 (1826)
 
 最初1~4はモダンピアノ演奏(ヤマハ製!)、同じ曲目が繰り返され次はフォルテピアノの演奏になります。1~2は1784年シュタイン製フォルテピアノ、4は1805年ナネッテ・シュトライヒャー製(3が分かりませんでした…)ベートーヴェンの生きていた時代の音源により近い音楽が繰り広げられるのです。
 モダンピアノとナネッテ・シュトライヒャーのピアノとで大フーガを聴き比べるのもとても面白いですよ!後者は特に「スレスレの掛け合いというかなだれこみというか、」なんだかあんまり集中していると気が変になりそうな感じになります^^;
 これは19世紀の間は評価されなかった…というか当時の人々には理解不能だったという印象を強く持ちますよ。ピアノが色々時代とともに変化し、ダブル・エスケープメントの機構や音色の出し方が変わってくると、モダンピアノで聴く大フーガはまた違った音楽に聴こえてきます。
 生涯最先端のピアノで作曲し続け、作曲年代によって使われていたピアノが異なっていたベートーヴェンが今の黒いグランドピアノに出会ったらどんな音楽を作っていたのかな?という想いに駆られること、間違いなしです!

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