61 世界最初のピアノ・クリスト-フォリ。

61  Discovering the piano: Linda Nicholson on a Cristofori piano

リンダ・ニコルソン(フォルテピアノ)Linda Nicholson(fortepiano) 

(リンクから音源に飛びます。)
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 昨日は豊洲へ小倉貴久子さんのコンサートを聴きに行ってきました。



 世界最初のピアノと言われているクリスト-フォリ(中央)、ピアノ最初期~モーツァルトの時代まで現存していた「ピアノとは違った強弱の発音の仕組みを持っていた」タンゲンテンフリューゲル(右)そして、現代のイタリア発ピアノ、ファツィオリ(左)が一同に並んだ「ピアノ発明家の夢~イタリアの風にのせて」でした。
 単に三種のピアノの音が聴き比べられるだけでなく、世界観までが曲ごとにガラリと変わる小倉貴久子さんの奏でるタイムスリップといった趣で、この3種の楽器が同時に揃うという贅沢な時間と空間を堪能しました。
 「当時の楽器がこういう仕組みで、音はこういった特徴と魅力があって…作曲家はその最先端の魅力に触れながら作曲し、こういった演奏をしていた」、という要素を熟知した小倉さんが今のグランドピアノになって響かせるクレメンティやドビュッシー「喜びの島」。その引き出しの多さにも改めて驚嘆させられました。
(私がもしファツィオリ社の偉い人だったらきっと勧誘してる^^;凄くカラフルでキラキラした官能的なドビュッシーでしたから!)

 そんなこともあり、多くの皆様にピアノの歴史を…音楽の歴史に深く関わっているクリスト-フォリの発明品であるフォルテピアノはぜひ一度実演で聴いてほしいと心から願っています。(タンゲンテンフリューゲルはまた別の意味で貴重!またブログの何処かで取り上げたいと思います。バッハのプレリュードとフーガ素敵だったなぁ…。)現在世界で3台しか残っていないクリスト-フォリですが、復元楽器という形で当時の音色がどんなだったか、演奏を聴くことは可能なのです。
 そして聴き放題に果たしてクリスト-フォリのピアノの音色があるのか?…やはり世界最初ということだけあって、検索にかければcristoforiという名称だけで何件か聴き放題でもリストに出てきました。さすが!

・ツィンバロ・ディ・ピアノのためのソナタ集からソナタ1番ト短調 (ジュスティーニ)
・チェンバロ・ソナタ10番ニ長調 (パラディエス)
・クラヴサン組曲第1集から組曲 HWV 427 (ヘンデル)
・イタリア趣味の6つのチェンバロ・ソナタ Op.1よりソナタ4番ト短調 (プラッティ)
・ソナタト長調 K.547(スカルラッティ)
・ソナタ ロ短調 K.87(スカルラッティ)
・ソナタ ニ長調 K.118(スカルラッティ)
・ソナタ ニ長調 K. 119 (スカルラッティ)
・8つのチェンバロ・ソナタより5番 (アルベルティ)
・ソナタハ短調 Marvin 23/ Rubio 60a(ソレール)
・ソナタハ短調 Marvin 24/ Rubio 60b (ソレール)
 しかし、このアルバム大変魅力的なのですけども、誰が誰の曲だかわからず、しかも名前がわかってもはじめまして!の方ばかりでとても苦労しました😅
 上記にあるのが音源のリストです。いずれも1700年代後半の作曲家ですね。(私は半分もわかりませんでした…)

 クリスト-フォリがメディチ家のフェルディナンド大公子に才を買われ、ピアノ第一号とされるものを作ったのが1720年、音源にある作曲者には最初のフォルテピアノの為のソナタを作ったとされるジュスティーニも含まれていますが、彼が作曲した時はもうクリスト-フォリは世にいなかったそうです。
 フォルテピアノは最初大金持ちの(それこそ王侯レベル)家にあったくらいで、スカルラッティやソレールはスペインの王子や王女に演奏を教えている中で、クリスト-フォリのピアノに触れた可能性があるようです。でもチェンバロと異なり音の強弱が図れるこの最先端の楽器は作曲家にとって大変魅力的だったと思われ、より多くの製作者が登場し、50年も経過すれば既に貴族に、そして前回取り上げたスクエア・ピアノの登場により中流階級にまたたく間に広まっていったわけです。(下記リンクをどうぞ。)

 確かにこの音源からも、チェンバロとも今のピアノとも異なる音の魅力は伝わってくると思います。ただ実物の音は少し小さめなので、(300名のホールでも小さめに感じられましたから。)あんまり大音響で聴かないほうがいいかも^^;そしてぜひ一度、実演でのクリスト-フォリの音と最初期の作曲家が未知の楽器に触れたことによるワンダーランドにあなたの耳で確認していただけたらとても嬉しいです。

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