60 浜松とスクエア・ピアノとクレメンティ。

60  Clementi On a Clementi & Co Square Piano

マリーナ・ロドリゲス・ブリア(フォルテピアノ)
Marina Rodríguez Brià(fortepiano)


リンクから音源に飛びます。)
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 この週末はF1日本グランプリに出かけていたのですが、前後は浜松へと。2つのミュージアムへ行ってきました。
 ひとつはヤマハ株式会社の社内ミュージアム「イノベーションロード」。本社内にありますがウェブ予約をすれば誰でも入場できる施設です。
 昨年オープンしたピカピカの施設はコンサートグランドピアノCFX(1900万!!)や、2017年に発売されたベーゼンドルファーのクリムト限定モデル、から電子ピアノやキーボード、シンセサイザーなど普段素人にはまず触れない楽器がこれまた誰でも試演して確認できたり、ヤマハの歴史やものづくり、最先端技術の一環を垣間見ることが出来ます。

こちらは弾くことが出来ませんけども、1903年製日本楽器製造のグランドピアノです。この音色もいつか聴いてみたいですね!
 私個人は試演もとても楽しかったですけども、この108.6chのスーパーサウンドシアターに大変驚きました。最近8k、22.2chチャンネルのライブ映像を体験してそちらも臨場感はものすごかったのですが(ちなみに多くの映画館で採用されているサラウンドは5.1chです)このスーパーサウンドシアターは、耳が騙された気分になりました。
 なんというか360度隙なく包み込まれ、疑似コンサートホールのような感覚になります。近未来の音楽鑑賞はこのように変わっていくのかも知れませんね。(下のキラメキはデモ映像のごく一部です)


  そしてもう一箇所は「浜松市楽器博物館」です。(入館料800円。JAF割引あり)
 ここは浜松へ行くたびに立ち寄ってしまうところですね!クラシック音楽ファンの方は一日いても飽きないと思います。楽器の歴史、世界の楽器が網羅されていて、実物を見て奏でる音楽をヘッドフォンで確認することが出来ます。
 私はつい、ここにくるとここのスクエア・ピアノのヨハン・クリスチャン・バッハ(セバスチャン・バッハの11男で末っ子)のピアノ・ソナタ5番(op.5-5の3楽章)を聴くのがとても好きで今回も4回は聴いたように思います。
 というのもこのツンペ製のスクエア・ピアノ(アップライトピアノが発明されるまで中流家庭向けに普及した文字通りテーブルみたいな四角いピアノです。)がとてもこの音楽に合うのです。硬質ですが軽い響きは数あるフォルテピアノの中でも独特な響きで、クリスチャン・バッハが大変気に入っていたということは、彼のピアノ曲はこの楽器で演奏するのがピッタリのように心の底から感じられます。


 クリスチャン・バッハとツンペのスクエア・ピアノの演奏は違う曲(同じop.5-1の1楽章)で映像がありました。
 こんな感じの音質です。彼の音楽に大変似合っていると思います。
 
 さてそんなわけでこのスクエア・ピアノについてなにかこの聴き放題ブログで取り上げたいなと幾つか聴いたのですが、何故かクリスチャン・バッハではなく、ムツィオ・クレメンティのこの1枚になりました💦

 とはいえクレメンティもスクエア・ピアノの歴史を語るときには欠かせない音楽家の1人です。モーツァルトと音楽対決したりしている古典派作曲家のひとりであるクレメンティは楽器製造販売のビジネス経営にも関わり、Muzio Clementi & Co. という名称のフォルテピアノやスクエア・ピアノを現代に残しています。
 このクレメンティ製のスクエア・ピアノを用いたクレメンティのアルバム、というのは洒落が聴いていますし、実際私はクレメンティ…ちょっと苦手だったのですけども、この音楽で流れてくるキラキラ感はとても魅力的に感じられました。
 当時クレメンティも顧客向けにちょこっと曲の一部を演奏して、ピアノの買い手であるマダムの心を掴んだりしたんだろうか?と思いを寄せたくなる、ある意味わかりやすいドラマチックさを感じさせます。
 クレメンティ製のスクエア・ピアノはクリスチャン・バッハ&ズンペの組み合わせとも違う響きですけども、どちらも作曲者ご自身の関わった楽器だからか音色が音楽とよく合っているような気がするのです。
 良かったら是非聴き比べてみてください!

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