49 フォルテピアノがさらに輝くとき。

49. Beethoven: Piano Trios Nos. 1-3

トリオ・ゴヤ Trio Goya

(リンクから音源の頁に飛びます。)
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 もう先週の話になってしまうのですけども、両親と都市対抗野球を観に行ったその足で向かったのが浦和。更にカーシェアの車で向かったのがさいたま市にあるプラザウエストというところでした。
 ここで小倉貴久子さんのフォルテピアノ・アカデミーという、アカデミックながら聴講やコンサートもある幅広い催しが3日間に渡って行われました。
 会場にはフォルテピアノが7台揃っており、聴講生でもこういった楽器を実際に弾いて体験することができたりもします。

 私達はその中のコンサートのひとつ、「鈴木秀美ベートーヴェンレクチャーコンサート」に行ってきました。会場としてはこんな感じでした。
このブログでも時々フォルテピアノについて取り上げています。
 楽器単独で聴いていても作曲家の当時の最先端を感じながら音楽に思いを馳せられるのですが、これらの楽器の魅力が一層際立つのが他の楽器との組み合わせた時のブレンド(と書くとコーヒーみたいですが)であると思っています。本当に魅力的なのです。その理由をこのコンサートで大変わかりやすく鈴木秀美さんがご説明下さりました。
 …うーん、ユーモアと教養とが合わさった鈴木秀美さんが話してくださるから納得と面白さが同居するのであり、私が書いてみると乱暴すぎるのですけども、
「現代のピアノでは…勿論20世紀以降のコンチェルトにはしっかり対応するけれども18~19世紀の室内楽では音が大きすぎ、また減衰が長すぎて当時の作曲家がスコアに残し意図していた響きにならない。その結果ピアニストは(概して)抑えめに演奏しなくてはならなくなり、それでも弦楽器にとっては大きすぎる」といったところでしょうか。
 室内楽にとってみれば今のピアノが弦楽器のパートナーとして歩むには相当な工夫が必要なようですが、これが当時の楽器であれば、対等な関係の響きが広がるのです。
 小倉貴久子さんのワルターのフォルテピアノと鈴木秀美さんのバロックチェロの響きはまるでカップルが交わす軽やかなお喋りのよう。ベートーヴェンの音楽に親しみとスリリングなセッションのような興奮が味わえたのでした!
 (その割にはワルターの写真を撮り忘れてしまったのですけども^^;すみません。上から世界最初のピアノ、クリスト-フォリの復刻、音が小さいけれども減衰が魅力的なクラヴィコード、モーツァルトが好きだったというピアノでもチェンバロでもない仕組みのタンゲンテンフリューゲル復刻、そして一番下のピアノが、ショパンも愛好していたプレイエル製”ピアニーノ”です)







 こういったフォルテピアノを用いた室内楽をミュージックアンリミテッドで探すには少し工夫が必要なのですけども”fortepiano”と引いたり、ジャケットをよく見ると写真が黒いピアノでなかったり、フォルテピアノと明記されていたりするものを是非一度聴いてみてください!
ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調作品1-1(1794年)
ピアノ三重奏曲第2番ト短調作品1-2(1795年)
ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品1-3(1795年)

 先週のコンサートはチェロ・ソナタ(チェロとフォルテピアノ)でしたけども、今回はバイオリンも加わったトリオの魅力を身近に感じられますのでどうぞお試しください!
 ベートーヴェンには大変失礼ながら^^;すごくフレンドリーな音楽に聴こえてきます…。

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